簡易電費計算ツールの紹介と配布【自動車工学】/Introduction and distribution of a simple energy consumption calculation tool 【Car/Automotive Engineering】

初めに

今回はこれまでの電費計算・シミュレーション方法の中で説明したロジックを用いて、実際に簡易的な電費計算ツールをつくって、実際のTesla モデルY RWDのカタログ電費と比較を行いました。また記事の最後で作成した簡易電費計算ツールを公開しているので、ご興味ある方は見てみてください。
※内容に間違いがあった場合、その情報を利用して何かしらの不利益が発生しても責任は負いかねますのでご了承願います。

簡易電費計算ツールの紹介

マクロは使わず全て関数の計算により、電費を算出しています。初期の諸元としてはTesla ModelY RWDの諸元が入っています。(諸元については次の章で紹介)
※Excelを用いている理由としてはプライベートでMatlab等のSIMツールライセンスを持っていないのと、Excelでも計算可能な計算量なためです。


他の諸元で電費計算をしてみたい方は、黄色のセルをいじってみてください。今回は電費走行モードの時間が1800sec(WLTC)ですが、走行モードの時間が変わる場合はセル参照など修正が必要です。

計算に用いたロジックは全て過去に紹介した電費紹介記事で紹介しているので、参考にしてください。

第1回:電費とは何かと、エネルギーと走行距離からの電費計算方法

第2回:エネルギーの流れとタイヤ出力計算方法

第3回:モータ・インバータ・バッテリー効率を考慮した電費計算方法

使用諸元と結果検証

〇使用諸元
車両諸元、平均効率値はTeslaモデルY RWDの値をChatGPT-5のDeepReserchでかき集めて使用しました。(このあたりの自動車エンジニアの生成AI活用に関してもいつか記事にしようと思います。)
WLTC走行モードの最新版はネット上に公開されていないため、WLTCモードを作成する会議で検証用として作成されたデータを用いています。最新の走行データとは若干違いがあるのでご注意ください。(リンク)

〇結果検証
TeslaモデルY RWDのWLTCカタログ電費が139Wh/kmであるのに対して、今回の計算値は137.6Wh/kmなのでかなり近い値が出ていますね!今回の計算値では車両側のCPUの消費電力等諸々は計算に含めていないので、そのあたりが差の一因かなと思います。

簡易電費計算ツールの配布

簡易電費計算を閲覧・使用してみたい方は、上記のリンクからダウンロードをお願いします。

最後に

今回はこれまで説明した理論を元に簡易的な電費計算ツールを作成しました。本検証を通して、これまでに説明してきた電費計算の基礎知識の重要性・有用性が証明できたかなと思います。実際はイナーシャの計算を入れたり、走行状態や温度条件で推移するロスを計算したり等、掘り下げるポイントはまだまだあるので、またいつか記事にしようかなと思います。
次回はMG・INVの効率計算方法になります、お楽しみに!

Summary in English:

In this article, we used the energy consumption calculation logic introduced above to create a simple energy consumption calculation tool for a Tesla Model Y RWD and performed a comparison with the catalog value. The tool is function-based, and the Model Y specifications were used as the initial settings. The energy consumption calculated under driving conditions based on the WLTC mode was 137.6 Wh/km, which is very close to the catalog value of 139 Wh/km. The specifications used were collected using AI, and the calculation logic has been explained in a previous article. A download link for the tool is provided at the end of the article, so it can also be applied to other vehicle models. In our next article, we plan to explain how to calculate motor inverter efficiency.

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