燃費・電費走行モード(WLTC,CLTC,Conb.)【自動車工学】/Fuel Consumption / Energy consumption Driving Mode【Car/Automotive Engineering】

初めに

燃費や電費は、車両性能を定量的に評価する上で最も重要な指標のひとつです。
そしてこれは、単なる「距離÷燃料」ではなく、各コンポーネント効率・車両重量・空力・転がり抵抗・制御など、複数の要素が複雑に絡み合って決まります。

現場では、燃費改善のために1%の効率向上を狙って様々な検討、試験を行い、少しでも製品の魅力を引き上げようと努力しています。筆者も様々な燃費・電費改善アイデアを提案、費用対効果を検証、実現可能性を試験で検証というサイクルを幾度も繰り返してきました。
本記事では、燃費・電費編第1回として燃費・電費走行モードについて、開発現場の視点で解説します。

※CLTC追加しました。(2025.10.12)

WLTC

〇WLTCの概要
日本、EU諸国、韓国、インドなど国際的に広く使われている燃費・電費走行モードで、排出ガスや燃費性能を評価するために使われています。WLTCはWorldwide-harmonized Light vehicles Test Cycleの略でまさに世界で一番使われている燃費・電費走行モードです。
走行モードとしては、WLTCの中に以下のような4モードを備えています。エキストラハイモード (Extra High)は特定の国や地域のみで利用していることに注意が注意しましょう、実際日本のWLTCは採用されていないです。(エキストラハイは130km/hまで車速が上がるが、日本で130km/hはNGないので採用されていないらしい。)

市街地モード (Low): 渋滞や信号が多い都市部での低速運転を想定。

郊外モード (Mid): 中速域で信号や渋滞が少ない走行条件を想定。

高速道路モード (High): 高速道路の走行を想定。

エキストラハイモード (Extra High): 高速道路のさらなる高速域の運転を想定。


〇WLTCの車速データ
本記事の説明用&今後のブログ用にWLTC車速の時系列データをネット上で探しに探しましたが、どうやら最新版の車速データはネット上で公開されていないようです・・
しかし、WLTCモードを作成する会議で検証用として作成されたデータが公開されているのを発見しました!こちらは最新版のWLTCモードと比較すると微妙に車速が異なる部分がありますが、ラフなシステム検討用であれば十分使えると思います。

車速データ:DHC-12th session | UNECE(WLTP-DHC-12-07のExcel)

Conb.

〇Conb.(UDDS,Hwy)の概要
Conb.(UDDS,Hwy)はアメリカで主に使われている燃費・電費走行モードです。都市部(UDDS: Urban Dynamometer Driving Schedule)と高速道路(Hwy: Highway Cycle)の両方の走行条件から成ります。UDDSは都市部の低速・頻繁な停止・加速、Hwyは比較的一定した運転を模した走行条件になっています。

Conb.燃費はUDDSに55%、Hwyに45%の重みづけをし、以下のように計算します。

Conb. 燃費 (L/km)=0.55×UDDS燃費 (L/km)+0.45×Hwy燃費 (L/km)

Conb.(UDDS,Hwy)の車速データ
Conb.(UDDS,Hwy)の車速時系列データも探してきました!
こちらは燃費および排出ガス評価の基準策定を行う機関であるEPA(アメリカ環境保護庁)から提供されている車速データになるので、正しい値となります。

車速データ:https://www.epa.gov/vehicle-and-fuel-emissions-testing/dynamometer-drive-schedules

US06

〇US06の概要
Conb.(UDDS,Hwy)と同様にEPA(アメリカ環境保護庁)が定めた燃費・電費走行モードです。WLTCなどよりも高負荷・高加速条件

US06の車速データ


車速データ:https://www.epa.gov/vehicle-and-fuel-emissions-testing/dynamometer-drive-schedules

CLTC

CLTCの概要
CLTC(China Light-duty Vehicle Test Cycle)*とは、中国で乗用車や軽商用車の燃費・排出ガス性能を測定するために導入された走行試験モードのことです。もともと欧州のWLTC(世界統一軽車両試験サイクル)を基に開発されていますが、中国の都市交通環境(渋滞や低速走行が多く、信号や一時停止が頻繁に発生する実情)をより反映するように設計されています。

CLTCの車速データ
CLTC(China Light-Duty Vehicle Test Cycle)の時系列速度データについて調べたところ、個人の技術者や愛好家が公開している情報が確認できました。数値をグラフ化すると、CLTCの特性反映しており妥当な傾向を示しているように見えます。ただし、これらは公式規格そのもののデータではなく、改変・誤差を含む可能性がありますので、利用する際は自己責任での判断をおすすめします。
車速データ:CLTC/data/CSV/CLTC-P-2019.csv at main · muziing/CLTC · GitHub

終わりに

本記事で紹介したWLTCやConb.(UDDS,Hwy)といった試験モードは、現場でシステム検討(燃費・電費・熱など)を計算するための基礎的なデータとなるので、把握しておきましょう。今回は車速条件に絞ってお伝えしましたが、実際にはもっと細かな測定条件等が存在します。これらの測定条件に関しましては、国交省のサイトなどに載っているのでご興味ある方は覗いてみてください。
次回からは燃費電費計算の具体的な方法について解説していこうと思いますので、お楽しみに!

Summary in English:

This article explains two major driving cycles used to evaluate fuel and energy efficiency—WLTC (international standard) and Conb. (UDDS/Hwy, U.S. standard)—from the perspective of real-world automotive development. Fuel and energy efficiency are not simply calculated as “distance divided by fuel”; they are determined by a complex interplay of factors such as vehicle weight, aerodynamics, rolling resistance, and control strategies. WLTC includes urban, suburban, and highway conditions, while Conb. combines city and highway driving scenarios. These driving modes serve as foundational data for fuel, energy, and thermal calculations, making it essential for engineers to understand their structure and speed profiles. In the next article, we’ll dive into the specific methods for calculating fuel and energy efficiency.

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