初めに
電気自動車の性能を語るうえで電費は大切な要素となります。このブログでは3回に分けて、電費計算の基礎を解説する予定です。
第1回:電費とは何かと、エネルギーと走行距離からの電費計算方法(←本記事)
第2回:出力の計算方法と、駆動回生でのエネルギーの増減
第3回:モータ・インバータ・バッテリー効率の扱い方
電費とは
電費とは電気自動車の効率の良さ・航続距離を表す尺度となり、通常(Wh/km)で単位は表されます。例えばTOYOTAのbz4xでは約130Wh/kmとなり、これは1km走行するために130Whの電気を消費するという意味となります。つまり電費の値が小さいほど、電費の良い車というわけですね。
電費計算方法
電費(Wh/km)を計算するためには燃費・電費走行モードを走行したときに、どれだけのエネルギー(Wh)を消費するかと走行距離(km)を算出する必要があります。燃費・電費走行モードについては、前回ブログで紹介しています。
燃費・電費走行モードを徹底解説|WLTCとConb.(UDDS,Hwy)の基礎知識 | 現役エンジニアが教える! 自動車工学教室【MBD・システムエンジニアリング】
計算式は以下の通りです。
消費エネルギー(Wh)÷走行距離(km)=電費(Wh/km)
消費エネルギーと走行距離の計算方法
〇消費エネルギーの計算方法
消費エネルギーは出力×時間で計算できるので、走行モード中の出力(W)を算出することが重要となります。出力(W)さえ求められれば、あとは時間を掛け算するだけです。
(出力の計算が肝になるのですが、ここは第2回で紹介します。)
簡単な例を以下に示します。0~0.5(sec)の間は5(kW)出力が0.5(sec)継続するので、掛け算すると、この間2.5kJ消費していますね。この計算を0~2(sec)まで行い合計することで、合計消費エネルギーが計算できます。(ここでは例のため走行時間が2秒になっていますが、WLTCは1800秒でもっと長いです。)

ここではエネルギーの単位は(kJ)で計算していますが、(Wh)へ単位変換すると以下のようになります。
15(kJ)×1000÷3600=4.16(Wh)
〇走行距離の計算方法
走行距離に関しては、燃費・電費走行モードで時間と速度の関係が定義されているので、時間×速度で燃費・電費走行モードを走り切った時の走行距離は計算できますね。ここでは10(m)走ったとしましょう。
〇消費エネルギーと走行距離から電費の計算方法
上記で求めた消費エネルギーと走行距離を用いて、以下のように計算式に用いることで電費が計算できます。
消費エネルギー(Wh)÷走行距離(km)=電費(Wh/km)
4.16(Wh)÷0.01(km)=416(Wh/km)
単位については以下記事で解説しています。
【自動車工学】自動車エンジニア必見!物理量と単位の基礎知識 | 現役エンジニアが教える! 自動車工学教室【MBD・システムエンジニアリング】
最後に
今回は電費計算の基礎(電費とは何かと、エネルギーと走行距離からの電費計算方法)について解説しました。次回はいよいよ電費計算の出力の計算方法と駆動回生でのエネルギーの増減について解説しようと思います、ここは電費計算の肝となる部分なのでお楽しみに!
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